そもそもNSAIDsって何?言葉の定義から確認する
医学を勉強する上で最も大切になるのが、言葉の定義である。ここでは病気がみえる、よりその定義を拝借したい。
NSAIDsはNon-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs の略であり、日本語訳すると「非ステロイド系抗炎症薬」となる。
「アラキドン酸カスケードにおいて主要な酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害し、プロスタグランジン類(PGs)などの産生を抑制することにより抗炎症・解熱・鎮痛作用を発揮する治療薬である」
となっている。
シクロオキシゲナーゼ(COX)って何?
COXはCOX-1とCOX-2というサブタイプに分かれている。
サブタイプというのはポケモンで言うところの、〇〇の姿、的なものだと捉えて問題ない。ちょっと違うけどね。どちらかというとイーブイの進化先、と言った方が正確かも。
そんなNSAIDs。「抗炎症」、というくらいだから炎症作用を抑える薬であることには間違いない。
でも実はCOXのうち、炎症反応に関与するのはCOX-2 であるとされている。
じゃあCOX-1 は何をしているかって?
COX-1は主に生理機能調節、例えば胃の粘膜保護や、腎血流調節などに関係している。
NSAIDsはCOX-1, COX-2 両方の産生を阻害することで作用を発揮するが、COX-1 を阻害してしまうことで先に述べた生理機能調節にも悪影響が生じる。副作用として消化性潰瘍、等がある。
これも考えてみれば非常に単純な話である。
「本来胃の粘膜保護に関係している物質」の働きをNSAIDsで弱めてしまったら、
粘膜保護が出来ない→胃酸による障害、つまり消化性潰瘍が生じる。
これだけの話。
それじゃあ問題あるよね、という事で近年、炎症に関与するものつまりCOX-2 のみを阻害するNSAIDsが登場している[^1]。
[^1]: セレコックス錠 添付文書
COX-1, COX-2 を両方とも阻害するNSAIDsの事を「非選択的COX阻害薬」
COX-2 のみを阻害するNSAIDsの事を「選択的COX-2 阻害薬」という。
選択的、非選択的、という表現は他でも登場するので、これを機会に馴染んでおくと良いかもしれません。
まとめ 『NSAIDsはCOX阻害をすることで炎症を抑える』
今回の記事は
「NSAIDsって良く名前として聞くけど、実のところどんな風に役に立ってるのか知らんな‥」
という過去の自分に向けて書いてみました。
実際には途中で登場した「腎血流調整」の話や、「ステロイドはアラキドン酸カスケードのどこに作用しているの?」「空腹時に飲んだらだめ、理由は?」など、他にも考慮しなくてはならない事は沢山あります。
その第1歩として、まずはこの内容を確認してみて下さい。
普段何気なく飲んでいる痛み止め、その効果を知ることで、より体に優しい飲み方が出来るかもしれませんね。
では。
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