CBT得点率9割を目指すようです。2 日目: ミスの減らし方

医学
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24時間が短く感じるのは「謳歌している」からか、はたまた「忙殺されている」からなのか。

コレ!!!!という正解は有りません。今日の所は、前者でいきましょう✨

2日目は「ミスの減らし方」について考えてみようと思います。最も、ミスを減らす、という言葉自体はとても抽象度が高く、それを分解するところから始めなくてはなりませんね。

この記事を書いた人
じょん

2024年に医学部を卒業、現在大学病院と300床程度の市中病院のたすきがけ研修を行う傍ら、研修生活をより楽しく、パワフルに送る方法を発信しています。
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ミスの発見方法 – 演習中にメモを取る

まずは具体的な事例から。私は演習するとき、常に「メモ」を取るようにしています。自分が解答する時にどの様なプロセスで考えていたのか、ということを可能な限り言語化する、というモノです。
CBTの五肢択一問題は、1問1分。普段から「メモをとる」という「余計なこと」をしながら演習することで、当日時間の余裕が生まれるかな、ということも考えています。シメシメ😌

そんな冗談はさておき。

メモを取ることで、問題を間違えた時に頻発する「あー、コレね、凡ミス凡ミス」や、「あーそっちか。まぁ覚えてるから、耐え」といったミスをしたのにテキトーに済ませる現象、に立ち向かうことが出来ます。勿論100%ではないですが、文章に残っているレベルでは、可能です。

それを見ていると、極稀に「どうした自分??疲れてる??」といったミスが多いことに気が付きました。それが「正しいものを選ばずに誤っているものを選ぶ、もしくはその逆」、現象です。

事例1: 正しいものを選ばず、誤っているものを選ぶ。またはその逆。

1問1分の速度で取るメモなので、二重盲検試験→二重盲検、となっていることは許しましょう。しかし、「二重盲検とは、『治療薬』『医師』の盲検」と書きながら、堂々と違う選択肢を選んでいる。これはなんとも不思議です。

前提の確認: 本番と同じスピードで演習することのメリット

本番と同じスピードで演習することには、賛否両論が有るでしょうが、今回は伏せます。
私の考えはこうです。

当日は、その速度で考えないといけないんでしょ?

つまり、今3分掛けて1問を問いているならば、最終的には「3分→1分」にする演習を行わなければ、当日20問しか解けません。

自分の場合、曲がりなりにも予備校動画でメジャー・マイナー科を視聴しました。そのため、最低限の「知識の道具箱」は出来ていると考えています。
当日のスピードで考えて出てこないものは、当日も出ません。多分、というか絶対。

そして当日と同じスピードで考えた結果、「正しいものを選ばず、誤っているものを選」んでしまう。オレじゃなきゃ見逃しちゃうね。

他にも、自分がやらかした「凡ミス」について考え、共通点が有るようならば、それを見出していきましょう。

事例2: 用語の混同

お次は、用語の認識を取り違えた例です。演習の直前、救急科の動画を見て、qSOFAの基準(呼吸数>22/分、収縮期血圧<100、GCS が満点未満)を確認していただけに、痛いミスだったことを覚えています。ショックの定義が「収縮期血圧90以下」紹介されていたため、「うわぁ!qSOFAと違うじゃん!!分かりにく!!」と、逆に印象的でした。それだけに、痛いミスです(2回目)。

これは、焦りから生まれたもの、なのでしょうか。当日、どの様な環境で試験を受けるのかはわかりませんが、少なくとも ワ ザ ワ ザ qSOFAをタイプする時間、は無いと思います。つまり、頭の中で「qSOFAの基準は~」と考える、ということになるのです。更には「ブツブツ唱えながら問題を解く」ことも出来ないでしょう。試験だから当たり前といえば当たり前ですが。

頭の中ですべてを完結させる。これを6時間もの間維持することは、非常に体力が必要だろう、と考えています。

では次からは、どうすれば上記の様なミスが減らせるだろうか、ということについて考えてみます。

ミスを減らす方策① – ミスした箇所の知識を分解する

上記の様なミスは、全て「システム1認知」的な思考の結果生じたモノです。システム1認知、システム2認知とは人の認知形態の1つを表した用語です。

「システム1」は自動的に高速で動き、努力は全く不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。

「システム2」は、複雑な計算など、頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中などの主観的経験と関連付けられることが多い。

— ダニエル・カーネマン著,村井章子訳.ファスト&スロー.早川書房;2012.

自分の頭がどれくらい沢山の知識をシステム1で処理できるか、は人によって異なります。

例えば私の場合、「RAA系のホルモンバランス」であればシステム1寄りの思考が可能ですが、「尿細管性アシドーシス」「明順応・暗順応とロドプシンの代謝」などに関してはまだシステム2寄りで、じっくり考えないと平気で逆の選択肢を選びます。

 

簡潔に言えば、「直感で『多分こっち』と選んだ時にミスをする」のであれば、それはシステム1で処理できていない、ということになるでしょう。

CBTのように短時間でパンパン問題を切っていくためには、システム1で処理できる範囲をできる限り増やしていく必要があります。

ではそのために何をすれば良いのでしょうか。もうお分かりですね、そう、Ankiです。

最小情報原則で、システム2→システム1への変換を目指す

最小情報原則、というものがあります。カードに記載されている情報は、限りなく最小限に、というものです。

4. 最小情報原則を守るべし

学習内容は できるだけシンプルな形で定式化すべきです。これは、情報を失ったり 難しい部分を飛ばす という意味ではありません。シンプルさが重要である理由は、脳の働き方です。(中略)

うまく定式化されていない知識 – 複雑で長い

Q: 死海 の特徴は?
A: 塩湖であり、イスラエルとヨルダンの国境にある。その湖岸線は地表の最低点であり、平均して海抜マイナス396mである。長さは74km。海水の7倍の塩を含む(体積比30%)。比重が大きいので人が簡単に浮く。この濃い塩水の中で生きているのは単純な生命体だけである。

うまく定式化された知識 – シンプルで明確

Q: 死海はどこにある?
A: イスラエルとヨルダンの国境

Q: 地表の最低点はどこ?
A: 死海の湖岸線

Q: 死海の湖岸の平均高度は?
A: 海抜マイナス400m

Q: 死海の長さは?
A: 70km

Q: 死海の水は 海水に比べて どれくらい塩分が多い?
A: 7倍

Q: 死海の水に含まれる塩分は、体積比でどれくらい?
A: 30%

Q: 死海で人が浮くのはなぜ?
A: 塩分が濃いから

Q: 死海が「死」と呼ばれるのはなぜ?
A: その中では単純な生物しか生きられないから

Q: 死海の中で単純な生物しか生きられないのはなぜ?
A: 塩分が濃いから

— 効果的な学習法: 知識を定式化する20個のルール (4/20), rage2050の日記, 2011-02-07,  https://rage2050.hatenablog.com/entry/20110217

これを参考にして普段間違えた問題に関してAnkiカードを作成し、後は自分の中での「常識」になるのを待ちます。

結局、「待ち」かい!と突っ込みたくもなります。とはいえ、「今日完璧に覚えた」としても、1ヶ月後にはスカスカです。「問題演習→知識の分解→その後のAnki演習」を繰り返して、システム1寄りの知識を増やしていこうと思います。

ミスを減らす方策② – 解き方を一定に保つ

さて、今日は「Ankiで常識を付ける」ことがメインではなく「問題文を読み間違える」ことが一番の問題でした。どうやらAnkiの話がしたかったみたいですね。許してあげてください👼

さて、最後に「問題文を読み間違える」ことに対する方策を考えることにしましょう。
「しっかり問題文を読む」が答えにならないことは、お気づきの方も多いのでは無いでしょうか。

先日8月26日付の医学界新聞の記事「人はなぜミスをしてしまうのか」によると、「ダブルチェックだから、という気持ちが寧ろ慢心を生む」「行っている対策の見直しや、業務プロセスの簡素化等、追加ではない『引き算の対策』に取り組むべきだ」とあります。

 

現段階での対応策は引き算の対策で行くと、「解き方を一定に保つ」ことになるでしょう。何かをするのではなく、問題毎に対応するのをやめる、という引き算です。

具体的には「A→Eまで選択肢を吟味してから回答を選択する、しかやらない」ということです。

例えば五肢択一の問題で、「誤っているものを選べ」だとしましょう。
5つの選択肢の中で、正しいものが4つ、誤っているものが1つ有るとします。

この時、A,B,Cの順に見ていき、それぞれ「A:○ B:× C:○」となった、と想像してみてください。
ここまで考えれば、もうBが正解なことは目に見えています。しかし、ここで敢えてD, Eの選択肢を吟味します。パッと飛びつかない、ということです。気が向いたから正解が分かっていても後の選択肢吟味を行う、では有りません。Everytimeに「全選択肢の吟味」を行うのです。

最もコレは、「全部の選択肢を切れるように知識を付ける」という意味では有りません。「一旦すべての選択肢に目を通してから解答する」という統一ルールを設定する、ということです。

分からなかったら、「分からん」とメモします。

 

おそらく今後、演習を繰り返すたびに新しいタイプのミスが登場してくることでしょう。

今日のミスは明日の自分のために。明日のミスは明後日の自分のためになる。

そう考えて、進めていきましょう👼

QB演習数: 55問

「後5問」「もう5問」の積み重ねで、演習数はぐんと変わることに気がついた1日でした。

おやおや、お布団が呼んでいるみたいです。

それでは、また明日😴😴

 

 

 

 

 

コメント

  1. […] 最小情報単位に関してはCBT得点率9割を目指すようです。2 日目: ミスの減らし方 で言及しているので、詳しくはそちらを御覧ください。概して言えば「カードの情報をできるだけ少なくしていこうな」ということです。 […]

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