皆さんこんにちは、じょんです。
医学部はテストも多く、勉強が大変‥と思っている人も多いのではないでしょうか。
テスト対策の詰め込みばっかりで先が見えないにゃ‥苦しい‥
医学部の勉強覚えるばっかりだから面白くない…
「覚えるだけ」だとつまんないよね。
今日は考えながら学習する方法を教えるよ!
この記事は、こんな人向け!
・テスト対策→授業→テスト対策‥の流れに辟易している人
・今よりも楽しく医学の勉強がしたい人!
「Aを選んだ時、選ばなかったB, Cという選択肢があるはず」というマインドセット
最初に、少し真面目なお話。
道路を歩いていると、別れ道に突き当たる。
その時、みんなはどっちの道に進むだろうか?
右、左、曲がらない(元の道に戻る)、色々あると思う。
でも、例えば右を選んだ人は「選ばなかった左」があるし、
左を選んだ人には「選ばなかった右」がある。
もっと曖昧な表現をすると、Aという選択をした時、それはA以外の選択肢を切る、ということになる。
医学部で勉強してきて感じるのは、
「最初からA以外の選択肢が提示されることは稀」
ということ。
だからこそ、自分で学習するときには「A以外の選択肢」を意識的に把握することにしている。
具体例1: 抗がん剤の投与方法を考える。Dose Dense とDose escalation
曖昧な話をしていてもピンと来ないと思うので、ちょっと具体的な話。乳癌や卵巣癌に対する化学療法の投与方法、の話を紹介しようと思う。
この記事を読んでくれている1年生~3年生向けに、前提知識を簡単に紹介。
- 癌を見つけたら、医者はそれを何らかの方法で治す(体内から無くす)方向で話を進める
- 癌を無くす方法にはいくつか種類がある。オペをして取り除くか、それ以外の方法か。
- 「それ以外の方法」にもいくつか種類がある。その1つが「抗がん剤」を投与して、がん細胞を殺す方法。
- 「抗がん剤」を使った治療のことを「化学療法」と言ったりする。
これくらい知っていれば、今からの話はついていけると思います。では、早速。
抗がん剤は、身体に投与されて初めて効果が発揮される。
じゃあどうやって投与したら良い?という話になります。
その投与方法の1つに「Dose-dense療法」というのが存在する。(最初は何じゃそりゃ、って感じ。この後で説明していくよ)
この言葉の使い方としては、
卵巣がんに対してはDose-dense TC療法を行います
こんな感じ。
因みにTCはTaxan, Carboplatinという抗がん剤の頭文字を取ったものである。Taxan-Carboplatin、略してTC。
なんとか‥ついていけるかにゃ。英語が多いのはキツイにゃ‥
最初は慣れないと思うけど、「りんご」「みかん」的な感じで固有名詞は、使ってる内に親近感湧いてくると思う。もうちょっと頑張ろう!
さて、そんな抗がん剤の投与方法。
Dose-dense
Dose は「用量」、Denseは「密集」という意味の英語。
つまりDose-dense TC療法は、「本来よりも狭い期間でTaxan とCarboplatinを投与するぜ」という意味。
。
。。
。。。
ということを学習する時。何を思う?
Dose Dense 以外の投与方法はないのか?と考える
ここからが今日の本題。
この記事を読んでいる人は今、「抗がん剤にはDose dense療法がある」という知識を言われた、という状況。
これを学習する時に、
「じゃあDose dense 以外にはどんな方法がある?」と考えたら面白いぜ!!!
というのが今日の本筋。
続きを見ていこう。
化学療法の効果は、単位時間あたりに投与される薬剤の量(Dose-Intensity、略してDI)に影響を受けるとされています。
だから化学療法を行う際には、どんな方法であれ、DIを一定以上の値に保つことが重要となります。「単位時間」が鍵。
さて、ではDIを一定以上の値に保つ方法は、何があるだろうか?
もっと分かりやすく考えよう。
例えば太郎くんが、バイトで5000円を月に稼ごう、と考えていたとする。
それにあたって、2つの方法を考えた。
プラン1: 土日に終日バイトに入る。
時給1000円で計算すると
6000円/日× 2日/週 × 4週/月= 48000円。
プラン2: 土日と平日合わせて週4日バイトに入る
この場合、時給を1000円とすると
3000円/日 × 4日/週 × 4週/月=48000円。
まとめて入れるDose escalation , 分散派のDose dense
皆さんは、どっちを選びますか?
話を戻しましょう。
つまり抗がん剤の「DI」を一定にするというのは、バイトで言うならば「月にこれくらい稼ぎがほしい」と近いと言えるでしょう。
そうなった時、どうやって濃度を一定にするか。
1回の抗がん剤の投与量を上げるか、抗がん剤の投与頻度を上げるかのどちらかになります。
前者(バイトの例のプラン1)のことをDose escalation
後者(バイトの例のプラン2) のことをDose dense
と呼びます。
例えば抗悪性腫瘍薬の詳しい解説が載っている「薬が見える」という教科書には、Dose-dense しか記載が無い。
Dose escalation と対比させてのDose dense療法を紹介している訳ではないのです。
乳癌診療ガイドライン2021には、Dose-dense を紹介する際に
- そもそもどうしてDose denseが行われる様になったのか
- Dose Dense 以外に、どのような投与方法があるか
が一緒に述べられています。
Dose dense だけではなくこれらの項目を理解することで、
「あぁ、実はDose escalation という方法もあるのか」
と、文書作成段階で除外されていた選択肢の存在を知ることが出来ます。
とは言っても、編者の方は「分かりやすいように」という気持ちを込めて選択肢を切っている可能性もあります。全ての選択肢を提示することが、必ずしも良い、というわけではないのです。
他の選択肢を知ることの有用性- 自分なりにまとめ直すことが可能に
他の選択肢の存在を知ることがなぜ良いんだろうか?
それはうまく言葉にすることは難しいが、恐らく‥なんでしょうね笑
ただ直感的に、「どうしてその治療が行われているのか」を知る切っ掛けにはなると思う。
例えばDIといった、「単位時間あたりの抗がん剤の量」を意識するさっきの考えは、実は「Norton-Simon仮説」という仮説に基づいているとされている。(次から次へと新しい言葉出しやがって‥)
そこで更に、
「Norton-Simon仮説はどうして正しいとされているのだろうか?」
を考えることで、自ら学習課題を見つけ、発展させることが可能になる。
抗がん剤の投与方法、レジメンの設定はどの診療科に進んでもつきまとう問題。
乳癌に対する化学療法、という乳腺外科・腫瘍内科的な視点から一歩視座を高く持ち、自分に必要な形に持ってくる。
そんな学習を進めていくと良いのでは無いかと考えます。
※因みに最後に紹介した「Norton-Simon仮説」に関しては乳癌診療ガイドライン2021に提示されています。ネットで無料公開されているので、気になった方は読んでみてくださいね。
まとめ- 自分で情報をまとめ直し、覚える。自分だけのクリニカルクエスチョンを!
いかがだったでしょうか?
今日は「乳癌診療ガイドライン」を参考にしながら、
「何かを選択するときには、選択しなかったものの存在を意識せよ」
「自分でまとめ直すことで知識は血肉になる」
ということについてお話しました。
因みに他の学習Techとして、「1つのノートに1つのことだけ書くようにすると、理解しやすくなる」ということも書いています。
まとめるだけでは効果は半減してしまいます。
まとめたあとは、「覚える」作業もセットで行うことで学習速度を上げていきましょう!
何かを覚えるのにはAnkiがお気に入りかな
CBT対策でAnkiと向き合った記事も公開しているので、そちらの方もチェックしてみてくださいね!
ではまた!
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